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利用者:Loasa/執筆記録と下書き/シャムロック

シャムロックをデザインしたセルティックFCのワッペン(1925-1977)

シャムロック(英: shamrock)は、マメ科クローバーシロツメクサコメツブツメクサなど)、ウマゴヤシカタバミ科ミヤマカタバミなど、クローバーに似た葉を持つ草の若葉であり、またそれらの葉を基にした意匠である。

シャムロックはアイルランドの象徴であり、またアイルランドの守護神である聖パトリックが三位一体の説明に利用したと伝えられる[1]

シャムロックという名は、アイルランド語でクローバーを意味する"seamair"の指小型である"seamróg"に由来する。その言葉は、若いクローバー、小さなクローバーを意味する[2]

植物学的な種

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コメツブツメクサの葉と花。アイルランドにおいては、コメツブツメクサは5月から10月にかけて開花する[3]。 従って聖パトリックの日には花は見られない。
シロツメクサの葉

正確に植物学的に考えた場合、「クローバー」のどの種が「真の」シャムロックであるか、ということについての合意は未だにない。ジョン・ジェラードは、1597年に出版された彼の本草書の中で、シャムロックをTrifolium pratense(ムラサキツメクサ)またはTrifolium pratense flore albo(シロツメクサ)と定義している[注 1]。彼は、英語で 'Three leaved grasse' あるいは、'Medow Trefoile' とされる植物は、アイルランド語で Shamrockes と呼ばれている、と記載した[4]。 アイルランドの植物学者Caleb Threlkeldは、1726年に書かれた彼の仕事"Synopsis Stirpium Hibernicarumor A Treatise on Native Irish Plants"において、シャムロックをTrifolium pratenseと同定してジェラードの説を支持した。彼は、それを "White Field Clover" と呼んでいる[5]

植物学者のリンネは1737年の"Flora Lapponica"でシャムロックをムラサキツメクサと同定した。リンネは、Shamrock をラテン語化した名前のChambrochで、次のような気になる注を付けてそれに言及している。「これはアイルランド語でシャムロックと呼ばれる紫の野性クローバーであり、彼らは素早く敏捷な力を養うべくそれを食べる。」[6][7]

このリンネの、アイルランド人がシャムロックを食べるという情報は、エドマンド・スペンサーなどのエリザベス時代のイギリス作家たちのコメントに基づいていた。エドマンド・スペンサーは、シャムロックはアイルランド人によって、特に困窮や飢饉の際には食用にされていると注記した。しかし、これは従来から議論されてきたことであるが、エリザベス時代には、アイルランド語で若いクローバーを意味する"seamróg"とカタバミを意味する"seamsóg"が類似しているため混乱させられていたのである。[8]

シャムロックの同定をめぐる状況は、ロンドンの植物学者James Ebenezer Bichenoによってさらに混乱させられる。彼は1830年のある論文で、真のシャムロックはコミヤマカタバミであると主張したのである[9]。 Bichenoは、クローバーはアイルランドの在来種ではなく、17世紀半ばにアイルランドに導入されただけであるという誤った主張をし、シャムロックが食用にされていたというエリザベス時代の作家たちによる同じコメントに基づいて彼の議論を述べた。Bichenoは、この事実はクローバーよりもコミヤマカタバミの方に適合している、なぜならコミヤマカタバミはしばしば緑草として食べられ、香草として使われるからである、と議論した。しかし、Bichenoの議論は一般的に受け入れられていない。なぜなら実際の証明の重みとして、ある種のクローバーの方が好まれるためである。

イギリスの植物学者ジェームズ・ブリテンRobert Holland は、より科学的なアプローチを取った。彼らは1878年刊行の"Dictionary of English Plant Names"において、彼らの研究により以下のことが解明されたことを明らかにした。すなわち、聖パトリックの日コヴェント・ガーデンで「シャムロック」としてもっとも多く販売されていた種はコメツブツメクサであった。そしてそれはアイルランドの少なくとも13の郡において着用されていた[10]

最終的に、この物体をまとめるべく詳細な研究は、アイルランドで別々の植物学的な調査で遂行された。その一つは1893年[11][12]、もう一つは1988年のものである[13]。 1893年の研究はNathaniel Colganにより遂行された。彼はダブリンの店員として働いているアマチュアのナチュラリストである。1988年の調査はアイルランド国立植物園の園長である E. Charles Nelson によって遂行された。

両方の調査に共通する方法は、全アイルランド中の人々から「シャムロック」を送ってもらい、それらの植物学的種を同定できるように、それを鉢上げして開花させることであった。両者の結果は非常に似通っており、ここ100年でアイルランドにおける「シャムロック」の概念にはわずかしか変化がないことが示された。その結果は以下の表の通りである。

「シャムロック」とされた植物 [14]
標準和名 学名 英語名 比率 (1893)(%) 比率 (1988)(%)
コメツブツメクサ Trifolium dubium Lesser Clover 51 46
シロツメクサ Trifolium repens White Clover 34 35
ムラサキツメクサ Trifolium pratense Red Clover 6 4
コメツブウマゴヤシ Medicago lupulina Black Medick 6 7
コミヤマカタバミ Oxalis acetosella Wood Sorrel _ 3
シャジクソウ属またはカタバミ属のその他の種 Trifolium spp.,Oxalis spp. - 3 5


この結果が示すことは、「真の」シャムロックといえる種はないが、アイルランドの人々のおよそ半数により、コメツブツメクサがシャムロックと考えられており、3割がシロツメクサを、残りはムラサキツメクサやウマゴヤシやその他シャジクソウ属カタバミ属の多様な種で分割されているということである。このサーベイにおける種でアイルランドの固有種は一つもなく、すべてヨーロッパとの共通種である。すなわちシャムロックはアイルランドのみに成育する固有種である、という広範に信じられていた俗説に対する植物学的裏付けはないということになる。

脚注

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  1. ^ これらの名前は、リンネによる二分法が確立する以前のものであり、現在の正式な学名とは異なるものである。

出典

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  1. ^ Treeck & Croft 1936St. Patrick is said to have used the shamrock in explaining to the pagan Irish the idea of the Holy Trinity.
  2. ^ Nelson 1991, p. 14
  3. ^ Wildflowers of Ireland website
  4. ^ Gerarde 1597, p. 1017
  5. ^ NS07 Threlkeld Shamrock”. Dublin City Council. 2016年2月7日閲覧。
  6. ^ Nelson 1991, p. 34
  7. ^ Linnaeus 1737, p.221, No. 273
  8. ^ Kelly 2000, p. 311
  9. ^ Bicheno 1830
  10. ^ Britten and Holland 1878, pp.425-427
  11. ^ Colgan 1892
  12. ^ Colgan 1893
  13. ^ Nelson 1991, pp. 86–90, 139–144, 153
  14. ^ この表はNelson 1991, p. 153に基づく

参考文献

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