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グルバングル・ベルディムハメドフ

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グルバングル・マリクグルイェヴィチ・ベルディムハメドフ
Gurbanguly Mälikgulyýewiç Berdimuhammedow

2019年

任期 2007年2月14日2022年3月19日
首相 グルバングル・ベルディムハメドフ(兼任)

任期 2021年4月21日
大統領 グルバングル・ベルディムハメドフ(兼任)
セルダル・ベルディムハメドフ

出生 (1957-06-29) 1957年6月29日(67歳)
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
トルクメン・ソビエト社会主義共和国 アハル州ババラプロシア語版
政党 トルクメニスタン民主党
出身校 トルクメニスタン国立医科大学
配偶者 オグルゲレク・ベルディムハメドフ
子女 4人(セルダルを含む)

グルバングル・マリクグルイェヴィチ・ベルディムハメドフ[注釈 1]トルクメン語: Gurbanguly Mälikgulyýewiç Berdimuhammedowロシア語: Гурбангулы Мяликгулыевич Бердымухаммедов1957年6月29日 - )は、トルクメニスタン政治家。2007年から2022年まで同国大統領を務めた。「庇護者」ならびに「守護者」を意味するアルカダグArkadag)の敬称で呼ばれている[1]

経歴

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1957年6月29日にソビエト連邦トルクメン・ソビエト社会主義共和国南部のアハル州ババラプロシア語版に誕生する。1979年トルクメン州立医科大学ロシア語版英語版を卒業し、その後は歯科医師として活動した。

初代大統領サパルムラト・ニヤゾフ政権下では副首相を務めた。2006年12月21日に在任中のニヤゾフ大統領が死去したことに伴い、国家安全保障理事会英語版により大統領代行に就任。2007年2月11日大統領選挙ロシア語版英語版の結果、他の候補を大きく引き離す89.23パーセントの得票率を獲得して同14日に同国の第2代大統領へと正式に就任した。またニヤゾフが務めていたトルクメニスタン民主党議長の座も同時にベルディムハメドフが引き継いだ。翌年の2008年から脱ニヤゾフ政策を打ち進め続けている。

2012年2月12日大統領選挙ロシア語版英語版では約97パーセントの得票率を獲得して再選。同年4月には、エネルギー・工業大臣のヤルムハメト・オラズグルイェフトルクメン語版を『子息が交通事故を起こす』失態を演じたことから「父親として行き届いていない」として解任させた[2]

2013年4月28日には乗馬レース中に落馬して病院に搬送されたものの、トルクメニスタン国内ではほぼ報道されなかった[3]。同年9月11日に訪日し、同13日まで滞在した。安倍晋三首相明仁天皇と会談・会食し、国際協力銀行経団連などの政財界関係者とも交流した[4]

2016年憲法英語版を改正し、大統領任期を5年から7年に延長した。なおこの時の憲法改正では大統領選挙への立候補を70歳までに制限していた条項を撤廃しており、これはベルディムハメドフ自身の終身大統領への布石ではないかとみられている[5]

2017年2月12日に9人の立候補により行われた大統領選挙英語版では97.69パーセントの票を獲得して圧勝した[5]。同年10月、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンの65歳の誕生日を祝って自国産の犬(アラバイ犬)をプレゼントしている[6]

2018年4月に同国のオリンピック委員会ロシア語版英語版委員長に再選[7]

2019年5月31日に同国に訪問したロシアのメドヴェージェフ首相へ、2年前のプーチン大統領の時と同じくアラバイ犬の子犬を贈呈している[8]。同年8月、一ヶ月前の7月に国外から報道されていた自身の死[9]を否定する目的で国営テレビに出演し、ダルヴァザに在る巨大クレーター周辺でドーナツターンを披露するといったパフォーマンスを示している[10]。また、同年10月22日には即位礼正殿の儀へ参列し、翌23日には迎賓館赤坂離宮で安倍晋三首相と会談を行った[11]

2020年11月13日には「国家の誇りの象徴」としてアラバイ犬の形をした金の像を首都に建てることを、同日に開催された式典で公表している[12]

2022年2月11日、人民評議会(上院)の緊急会合にて若い指導者に権力を渡すことを目的として大統領職を辞任することを表明。翌12日には次期大統領選挙を3月12日へ前倒しして実施するよう中央選挙管理委員会に指示したが、これは前年9月に長男のセルダル・ベルディムハメドフが40歳となり大統領選挙へ出馬できる年齢に達したため、息子への権力移譲を意図した辞任ではないかと推測された[13]。この選挙でセルダルは得票率72.97%で当選した[14]。3月19日にセルダルが大統領に就任したことに伴って自らは大統領を退任し、人民評議会議長専任となった[15]

大統領退任後、2023年1月21日には人民評議会議長であったベルディムハメドフが憲法で「国の最高指導者」と規定される[16]

人物

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首都アシガバートアメリカ合衆国大使館における外交通信によれば既婚者であり、1人息子と3人の娘が存在する[17]。また、ソ連の政治家であったミャリクグル・ベルディムハメドフロシア語版トルクメン語:Myarrikgurly Berdimuhamedowiç Berdimuhammedow)とは子女関係にあり、ミャリクグル自身はソ連存在時から実質的な政治指導者として現地政界に君臨していた人物として知られている。

長男のセルダルはベルディムハメドフと同じく政治家で、ベルディムハメドフ政権下で外務副大臣、産業・建設大臣などを歴任し、2021年より副首相(革新・デジタル化担当)を務め[18]、同年7月の東京オリンピックの開会式にトルクメニスタン政府代表として出席して日本菅義偉首相と会談した[19]。2022年3月12日の大統領選挙で当選し[14]、3月19日に就任した[15]

祖父の名はベルディムハメッド・アナエフロシア語版(英語:Berdimuhamed Annayev、トルクメン語:Berdimuhammed Annaýew)といい、当人は第二次世界大戦において活躍していた軍人1948年に死没。70年後の2018年にロシアから名誉勲章ロシア語版を授与されている。

政策

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前任のニヤゾフ大統領時代は、個人崇拝を伴う強硬な独裁政治が行われており国民の権利は著しく制限されていた[注釈 2]が、ベルディムハメドフが大統領に就任して以降は、高齢者向けの年金の復活、閉鎖されていたアシガバート以外の病院再開、娯楽(オペラサーカス映画)の解禁、インターネットの利用の解禁など脱ニヤゾフ化政策を進めている。ベルディムハメドフが脱ニヤゾフ化を進める背景として、ニヤゾフによる頻繁な粛清で国家機構の人材不足が深刻になっていることが指摘されている。また、豊富な天然ガスをテコにした資源外交を活発化させている現政権としては、ニヤゾフ政権の異常な体制を廃止することで国際社会での孤立化を回避する狙いもあると見られている。最近はニヤゾフの著書ルーフナーマも入手が困難になっており、ルーフナーマ公式ウェブサイトの削除も行われるなど、「脱ニヤゾフ」化への努力がみられる。また経済的な理由もあるものの、ニヤゾフ前大統領が電気・ガス・飲料水については1993年から、食卓塩については2003年から無償供給としていた制度を2019年1月から止めて有償化した。有償化の理由をベルディムハメドフは「政府活動の持続的拡大・資源の合理的利用・社会的補助制度の発展のため」と説明している[20][21]

しかしながら完全な民主化とは程遠く秘密警察による監視は続いており、またかつてはニヤゾフの写真を用いていたアピールをベルディムハメドフのものに取り替える[22]など、新たな個人崇拝は現在も健在である。こうした動きに対し、国内の諸部族のバランスを取るため体制の安定が必要だという見方がある。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査では、ベルディムハメドフ本人や政権関係者によって全体主義が一貫されているとの結果報告があり、彼の親族も彼同様に絶大な権力を与えられているとされる[23]

日本とのつながりをアピールしている[24]2022年9月27日に実施された故安倍晋三国葬儀にベルディムハメドフ元大統領及びオグルゲレク夫人がトルクメニスタン代表として参列したことが、日本国外務省により発表された[25]

脚注

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注釈

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  1. ^ 朝日新聞は、ベルドイムハメドフとつづる。
  2. ^ これはあくまでも「大統領令」であり、大統領令を閣議承認しないと施行できないため、実際には後述するような地方の病院の閉鎖は行われていなかった。

出典

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  1. ^ Turkmenistan: President Gurbanguly Berdymukhammedov is awarded the status of Arkadag – protector Ferghana Information agency, Moscow 2015年9月5日
  2. ^ “子育てのまずさ理由に閣僚解任、トルクメニスタン大統領”. AFPBB News (フランス通信社). (2012年4月14日). https://www.afpbb.com/articles/-/2871507?pid=8785989 2013年5月4日閲覧。 
  3. ^ “トルクメニスタンの大統領がレース中に落馬、政府は沈黙”. AFPBB News (フランス通信社). (2013年5月3日). https://www.afpbb.com/articles/-/2942003?pid=10674972 2013年5月4日閲覧。 
  4. ^ ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領の訪日(概要) | 外務省 - 2013年9月13日
  5. ^ a b “トルクメニスタン大統領選、現職が圧勝”. 産経新聞. (2016年2月13日). https://www.sankei.com/article/20170213-GPGJTEMKFNNYBED6NB7UMIUNOU/ 2017年7月8日閲覧。 
  6. ^ プレゼントの子犬にキス 65歳誕生日, 毎日新聞(2017年10月12日), 閲覧日:2017年10月14日
  7. ^ President Gurbanguly Berdimuhamedov is re-elected the Head of National Olympic Committee Государственное информационное агентство Туркменистана 2018年4月22日
  8. ^ “メドベージェフ首相にトルクメニスタン大統領がプーチン大統領のと同じ子犬贈呈【動画】”. スプートニク. (2019年5月31日). https://sputniknews.jp/20190531/6315058.html 2019年6月1日閲覧。 
  9. ^ 報道機関、ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領の死亡を報道 2019年7月21日 ウクルインフォルム通信
  10. ^ “Turkmenistan's leader does doughnuts next to flaming crater to prove he's not dead”. ABC News. (2019年8月7日). https://www.abc.net.au/news/2019-08-07/turkmenistan-president-rally-car-hells-gate-dispel-death-rumours/11392246 2022年1月22日閲覧。 
  11. ^ 令和元年10月23日 即位礼正殿の儀参列者との二国間会談等(6) | 令和元年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ
  12. ^ “トルクメニスタン大統領は、国家の誇りの象徴として、アラバイ犬の形をした金の像を建てます”. voi.id. (2020年11月13日). https://voi.id/ja/berita/19726/presiden-turkmenistan-bangun-patung-emas-berbentuk-anjing-alabai-sebagai-simbol-kebanggan-nasional 2021年1月23日閲覧。 
  13. ^ “Turkmen President Hints At Succession, Announces Election For March 12”. ラジオ・フリー・ヨーロッパ. (2022年2月12日). https://www.rferl.org/a/turkmenistan-succession-berdymukhammedov-serdar/31700180.html 2022年2月13日閲覧。 
  14. ^ a b “Turkmenistan leader’s son wins presidential election”. Al Jazeera English. アルジャジーラ. (2022年3月15日). https://www.aljazeera.com/news/2022/3/15/turkmenistan-leaders-son-wins-presidential-election 2022年3月16日閲覧。 
  15. ^ a b “Serdar Berdimuhamedow sworn in as Turkmen president”. CGTN. (2022年3月19日). https://news.cgtn.com/news/2022-03-19/Serdar-Berdimuhamedow-sworn-in-as-Turkmen-president-18wRiIdxJFm/index.html 2022年3月20日閲覧。 
  16. ^ トルクメニスタンで憲法改正 前大統領「国の指導者」に”. 日本経済新聞. 2023年2月27日閲覧。
  17. ^ US embassy cables Turkmenistan president ‘not a very bright guy’ Turkmenistan ガーディアン 2010年12月2日
  18. ^ 長男を閣僚に任命 トルクメン大統領 時事通信 2020年2月8日
  19. ^ ベルディムハメドフ・トルクメニスタン副首相による菅総理大臣表敬”. 日本国外務省 (2021年7月24日). 2021年7月24日閲覧。
  20. ^ 高橋淳 (2018年10月2日). “電気、天然ガス、飲料水、食卓塩の無償供給が2018年末で終了(トルクメニスタン)”. 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ). https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/dd53a2271db356c2.html 2019年3月9日閲覧。 
  21. ^ “トルクメニスタン、無料だったガス・電気・水道代がついに有料化へ”. AFPBB News (AFP). (2017年10月11日). https://www.afpbb.com/articles/-/3146212 2017年10月11日閲覧。 
  22. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、3 May 2017 11:49:42 UTC閲覧。
  23. ^ World Report 2014 World Report 2014 Turkmenistan Human Rights Watch 2015年1月28日
  24. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、3 May 2017 11:57:52 UTC閲覧。
  25. ^ 外部リンク mofa.go.jpからのアーカイブ、24 February 2024閲覧。
公職
先代
サパルムラト・ニヤゾフ
トルクメニスタンの旗 大統領
第2代:2007年2月14日 - 2022年3月19日
次代
セルダル・ベルディムハメドフ
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