クーナ
| クーナ | |
|---|---|
| hrvatska kuna | |
| ISO 4217 コード | HRK |
| 中央銀行 | クロアチア国立銀行 |
| ウェブサイト | www |
| 使用開始日 | 1994年5月30日 |
| 使用 国・地域 |  クロアチア |
| インフレ率 | 0.9% (August 2018)[1] |
| 情報源 | クロアチア統計局, September 2018[1] |
| 指数 | CPI[1] |
| 補助単位 | |
| 1/100 | リパ |
| 通貨記号 | kn |
| リパ | lp |
| 複数形 | この通貨の言語はスラヴ語派に属する。複数形を構築する複数の方法がある。 |
| 硬貨 | |
| 広く流通 | 10, 20, 50 リパ, 1, 2, 5 クーナ |
| 流通は稀 | 1, 2, 5 リパ, 25 クーナ |
| 紙幣 | |
| 広く流通 | 10, 20, 50, 100, 200 クーナ |
| 流通は稀 | 5, 500, 1000 クーナ |
| 紙幣製造 | ギーゼッケ アンド デブリエント |
| ウェブサイト | www |
| 硬貨鋳造 | クロアチア造幣協会 |
| ウェブサイト | www |
クーナ（kuna）は、1994年5月30日から2022年12月31日までクロアチア共和国で流通していた法定通貨である。通貨記号はkn。補助通貨単位はリパ（Lipa）で、1クーナ=100リパ。ユーロ導入時のレートは1ユーロ=7.5345クーナ。ISO 4217コードはHRK。
概要
[編集]クーナはクロアチア語で動物のテンを意味し、リパは同じくクロアチア語でリンデンを意味する。スロバキアやチェコで使われている通貨単位のコルナとは関係はなく、中世にテンの毛皮が貿易に使われていたことに由来している。
通貨名としてのクーナは1939年にユーゴスラビア王国内に設置されたクロアチア自治州で流通させる独自通貨の発行を計画したときに初めて現れ、1941年にウスタシャ政権が率いるクロアチア独立国の正式な通貨となり、1945年のパルチザンによるユーゴスラビアへの再編入まで使用された。
1991年6月25日にクロアチアはユーゴスラビアからの独立を宣言し、ユーゴスラビア・ディナールに代えて独自通貨のクロアチア・ディナールが発行された。クロアチアディナールはあくまで新通貨への過渡となる一時的な通貨であり、独立宣言に伴って発生したクロアチア紛争の影響により急激なインフレーションに悩まされた。
クロアチア国立銀行は戦時中でありながらも新通貨の発行の準備を少しづつ進めていった。その新通貨の名称としてクーナの復活が提唱されたが、ウスタシャによる大量虐殺で悪名高いクロアチア独立国の通貨名だったこともあり、復活させるか否かで意見が分かれた。中欧諸国で使用されているクルーナとバニツァの名を採用すべきとの声もあったが、1993年7月にクロアチア大統領フラニョ・トゥジマンによってクーナの復活が発表され、1994年5月30日に1000ディナール＝1クーナの交換比率でデノミネーションが実施され、クーナが新しい通貨として流通するようになった。
クロアチア国立銀行はクーナの価値と低インフレ率を長期にわたって維持することに尽力し、その効果として対ユーロのレートは2001年以降、1ユーロ=7〜8クーナの価値を維持する極めて安定した通貨となった。
クロアチアは2013年7月に欧州連合（EU）に加入しており、かねてよりユーロ導入を求める声が多くあった。2020年7月10日にはブルガリア・レフと同時にERM2加盟が承認されるなどユーロ導入のための準備を進めていき、欧州委員会は2022年6月1日、翌年1月にユーロを導入することを発表した[2]。
2023年1月1日、予定通りクロアチアにユーロが導入され、クーナは廃止された[3]。
硬貨
[編集]硬貨は1、2、5、10、20、50リパと1、2、5クーナで構成されているが、一般的に広く流通したのは10リパ以上である。
リパ硬貨の表面には植物の図が、裏面には額面とリンデンの枝が描かれ、クーナ硬貨の表面には動物の図が、裏面には額面とマツテンが描かれている。表面に描かれた文章は奇数年はクロアチア語、偶数年はラテン語で書かれている。
また、記念硬貨としてバイメタル貨の25クーナが定期的に図柄を変更しながらコレクター向けに発行されていた。
| 額面 | 材質 | 直径(mm) | 重量(g) | 表面の図柄 | 発行年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1リパ | Al-Mg合金 | 17 | 0.7 | トウモロコシ | 1994-2009 |
| 2リパ | 19 | 0.92 | ヨーロッパブドウ | ||
| 5リパ | 黄銅メッキ鋼 | 18 | 2.5 | オークの枝 | 1994-2022 |
| 10リパ | 20 | 3.25 | タバコの葉 | ||
| 20リパ | ニッケルメッキ鋼 | 18.5 | 2.9 | オリーブ | |
| 50リパ | 20.5 | 3.65 | デゲニアの花 | ||
| 1クーナ | 洋白 | 22.5 | 5 | サヨナキドリ | |
| 2クーナ | 24.5 | 6.2 | タイセイヨウクロマグロ | ||
| 5クーナ | 26.5 | 7.65 | ヒグマ |
紙幣
[編集]紙幣は5、10、20、50、100、200、500、1000クーナで構成されており、表面にはクロアチアの歴史的偉人、裏面にはクロアチア各都市の歴史的建築物が描かれている。発行当初はドイツマルク紙幣との類似を指摘され、1996年に10マルク紙幣と酷似した10クーナ紙幣の再デザインを余儀なくされた。流通紙幣のうち5クーナは同額面の硬貨があることから2008年に製造を終了し、500、1000クーナは額が大きいことやATMが対応していないなどの理由でほとんど出回っていない。
主な偽造防止技術としてマイクロ文字で描かれたクロアチア国歌の歌詞や潜像、セキュリティスレッドなどがある。5〜20クーナは2001年に、50〜200クーナは2002年にそれぞれ偽造抵抗力を向上させる為の改訂が行われ、パールインキやホログラムが追加されている。
| 額面 | 色 | 表面の図柄 | 裏面の図柄 |
|---|---|---|---|
| 5クーナ | 緑色 | フラン・クルスト・フランコパン
ペータル・ズリンスキ[4] |
ヴァラジュディン城とその内部構造 |
| 10クーナ | 茶緑色 | ユライ・ドブリラ | プーラ円形闘技場とモトヴンの地図 |
| 20クーナ | 赤色 | ヨシップ・イェラチッチ | ヴコヴァルのエルツ宮殿
ヴチェドルスカ・ゴルビツァ |
| 50クーナ | 青色 | イヴァン・グンドゥリッチ | ドゥブロヴニクとレクター宮殿 |
| 100クーナ | 橙色 | イヴァン・マジュラニッチ
バシュカ石碑 |
リエカの聖ヴィート大聖堂 (クロアチア) |
| 200クーナ | 茶色 | スティエパン・ラディッチ | オシイェクの旧スラヴォニア総司令部宮殿
オシイェク旧市街の地図 |
| 500クーナ | 黄色 | マルコ・マルリッチ | スプリトのディオクレティアヌス宮殿[5] |
| 1000クーナ | 紫色 | アンテ・スタルチェヴィッチ | ザグレブのトミスラヴ王の像とザグレブ大聖堂 |
脚注
[編集]- ^ a b c "CONSUMER PRICE INDICES, SEPTEMBER 2019" (Press release). クロアチア統計局. 16 December 2019. 2019年11月27日閲覧。
- ^ “クロアチアが23年にユーロ導入、20カ国目 欧州委が表明”. ロイター (2022年6月1日). 2023年3月4日閲覧。
- ^ “クロアチアが単一通貨ユーロを導入 ユーロ圏は20か国に拡大”. NHKニュース (2023年1月1日). 2023年3月4日閲覧。
- ^ ペータル・ズリンスキおよびフラン・クルスト・フランコパンの功績についてはマグナート陰謀の項に詳しい。
- ^ 古代ローマ時代の建設当時の想像図。
- ^ レリーフ（画像）は11世紀に作られ、ペタル・クレシミル4世かドミタル・ズヴォニミルのどちらかが描かれていると推測されている。
参考文献
[編集]『Stvaranje hrvatske nacionalne valute』クロアチア国立銀行、2014年。
関連項目
[編集]- クロアチアの歴史
- クロアチアの経済
外部リンク
[編集]
| 典拠管理データベース: 国立図書館 |
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